起源 ― 天を見上げた人類
占星術の起源は、紀元前3000年頃のメソポタミアにまで遡ります。
人々は夜空に輝く星々を観測し、それを暦や農耕の指標としました。
「星の動きは神々からのメッセージである」と考えられ、これが占星術の始まりです。
古代ギリシャと十二宮
紀元前5世紀頃、古代ギリシャでは天空を**黄道十二宮(12星座)**に分け、惑星と関連づける体系が整いました。
プラトンやアリストテレスの哲学とも結びつき、占星術は宇宙と人間をつなぐ「学問」として扱われました。
ローマから中世へ
ローマ帝国を通じてヨーロッパ全土に広まり、医術・政治・軍事にまで応用されました。
一方、中世キリスト教世界では異端視されることもありましたが、イスラム世界で保存・発展した占星術が、後にラテン語へ翻訳され、ヨーロッパに再び息を吹き込みます。
ルネサンス期の発展
15世紀〜16世紀のルネサンス期には、芸術・錬金術・カバラと融合し、占星術は学者や王侯貴族に広く用いられました。
ガリレオやケプラーのような天文学者も、同時に占星術を研究していたのです。
近代と心理占星術
18世紀以降、科学的合理主義の広がりとともに占星術は学問の表舞台から退きました。
しかし20世紀には、ユング心理学と結びつき「ホロスコープは無意識の鏡」とする心理占星術が生まれました。
今日の占星術は、運命を示すだけでなく「自己理解のツール」として再評価されています。
🌌 占星術の歴史(年表+文献)
年表
- 紀元前3000年頃:メソポタミア文明で星の観測開始、占星術の萌芽
- 紀元前2000年頃:バビロニアで天文暦を確立、星座と農耕を結びつける
- 紀元前5世紀:古代ギリシャで黄道十二宮体系が成立(プトレマイオス『テトラビブロス』)
- 紀元前1世紀:ローマ帝国に広がり、政治・医術にも応用
- 8〜12世紀:イスラム世界で占星術が保存・翻訳され、ヨーロッパへ逆輸入
- 15〜16世紀:ルネサンス期、占星術が錬金術やカバラと融合
- 17世紀:ガリレオ・ケプラーなど天文学者も占星術を研究
- 18世紀:科学主義の時代、学問の表舞台から退く
- 20世紀:ユング心理学と融合し、心理占星術が誕生
- 21世紀:自己理解とライフデザインのツールとして再評価
主な参考文献
- Ptolemy, Tetrabiblos(プトレマイオス『テトラビブロス』, 紀元2世紀)
- Nicholas Campion, The Dawn of Astrology (Continuum, 2008)
- James Holden, A History of Horoscopic Astrology (AFA, 1996)
- リズ・グリーン『占星術とユング心理学』青土社, 1991